恋愛も結婚も夢も希望も全部諦めた…韓国『N抛世代』の衝撃的な生存戦略とは

韓国の20代が「9つ」も諦めた衝撃の理由

ソウルのコンビニで深夜アルバイトをしながら公務員試験の勉強をする25歳のミンジュさん。
彼女のスマホの待ち受け画面には、ある言葉が書かれている。

「今日も生きてるだけで100点」

一見ポジティブに見えるこの言葉の裏には、韓国の若者たちが直面する過酷な現実が隠されていた。

三抛世代→五抛世代→七抛世代→N抛世代という絶望の進化

韓国で「抛(포기)」は「放棄する」という意味。
最初は「三抛(サンポ)世代」と呼ばれていた。

  三抛世代が諦めたもの: ①恋愛 ②結婚 ③出産

しかし、それだけでは済まなかった。

五抛世代が諦めたもの: ④マイホーム ⑤人間関係

それでもまだ、時代は容赦しなかった。

七抛世代が諦めたもの: ⑥夢 ⑦希望

そして2024年現在、ついに「N抛世代」という言葉が生まれた。
Nは数学の「n」、つまり無限を意味する。諦めるものが多すぎて、もう数えることすら諦めたという皮肉だ。

なぜ韓国の若者は「普通の生活」すら諦めるのか

異常な住居費用の現実

韓国には「チョンセ(傳貰)」という独特な賃貸制度がある。これは家賃0円の代わりに、数千万円もの保証金を大家に預ける仕組みだ(詳しくは過去の記事で解説している)。

月給35万円の若者が、5,800万円のチョンセ金を用意できるはずがない。

実家を出られない若者たちは「カンガルー族」と呼ばれ、30代でも親と同居する人が全体の42.1%に達している。
日本の「子ども部屋おじさん」なんて可愛いものだ。韓国では社会現象として、真剣に議論されている。

世界最悪レベルの労働環境

韓国の年間労働時間は1,901時間。これでも「改善された」というから驚きだ。10年前は2,100時間を超えていた。

ある大手企業に勤める28歳の男性の1日を見てみよう。

韓国の大手企業で働く20代後半の会社員の典型的な1日

朝7時:出社(名目上は9時始業だが、上司より遅く来るなんてありえない)
昼12時:デスクでキムパプを片手に仕事
夜10時:ようやく退社
夜11時:上司から「ちょっと一杯」と誘われたら断れない
深夜1時:帰宅してシャワー
深夜2時:就寝
朝5時半:起床、また同じ1日が始まる

韓国のSNSでよく見かける投稿がある。

若者は恋愛しろ?デートする時間がどこにあるんだよ?

この一言が、全てを物語っている。

狂気の競争社会

韓国には「スプーン階級論」という残酷な言葉がある。生まれた時点で、人生の99%が決まるという意味だ。

  • 金のスプーン:資産20億ウォン以上または年収2億ウォン以上
  • 銀のスプーン:資産10億ウォン以上または年収8,000万ウォン以上
  • 銅のスプーン:資産5億ウォン以上または年収5,500万ウォン以上
  • 土のスプーン:資産5,000万ウォン未満または年収2,000万ウォン未満


努力では覆せない格差を、生まれながらに背負わされる。
日本の「親ガチャ」という言葉も相当きついが、韓国のスプーン階級論はより露骨で、より絶望的だ。

諦めた先に見つけた「新しい幸せ」の形

でも、ここで話は終わらない。

N抛世代の若者たちは、従来の価値観を捨てることで、逆に新しい生き方を見つけ始めている。

「小確幸(ソファクヘン)」という生存戦略

小確幸とは「小さいけれど確実な幸せ」の略。
もともとは日本の作家・村上春樹のエッセイから生まれた言葉だが、韓国で独自の進化を遂げた。


韓国で、「小確幸(ソファクヘン)」は以下のようなものに使われる。

  • 給料日に買う1,500ウォン(約170円)のコンビニアイス
  • 金曜日の夜、チキンとビールで一人晩酌(チメク文化)
  • 推しのアイドルのライブ配信を見る時間
  • カフェで過ごす「プチ贅沢」な時間

大きな幸せは諦めた。でも小さな幸せを積み重ねれば、人生も悪くない。

開き直りに聞こえるかもしれない。でも、これが彼らなりの生存戦略なのだ。

「YOLO」から「YONO」へ

数年前、YOLO(You Only Live Once=人生一度きり)という考え方が流行した。
でも最近の韓国では「YONO(You Only Need One=必要なものは一つだけ)」という新しい価値観が生まれている。

YONO族の特徴:

  • 服は最小限(ユニクロで十分)
  • 車は不要(公共交通機関で十分)
  • 広い家は不要(ワンルームで十分)
  • その代わり「自分が本当に大切にしたいもの」には惜しみなく投資

物質的な豊かさより、精神的な充実を選ぶ。
親世代には理解不能な価値観だが、彼女たちにとっては真剣な人生戦略だ。

それでも変わり始めた韓国社会

企業の変化

さすがにヤバいと思ったのか、サムスンやLGなど大手企業も動き始めた。

最近導入された制度:

  • 週4日勤務制の試験導入
  • 午後4時退社制度
  • 社内恋愛の推奨(!)
  • 社員寮の無料提供

特に最後の社員寮は画期的だ。チョンセ地獄から若者を救う、企業なりの答えかもしれない。

「会社が実家みたいになってきた」と苦笑いする社員もいるが、背に腹は代えられない。

政府の対応

2024年、韓国政府は「青年希望パッケージ」を発表。

  1. 住居支援:青年専用公共住宅10万戸建設
  2. 雇用支援:中小企業就職者に月50万ウォン支給
  3. メンタルケア:青年専用相談センター全国設置

効果のほどは未知数だが、少なくとも問題を認識したことは前進だろう。

日本の若者だって負けてない

「韓国の方が大変そう…」と思った?ちょっと待ってほしい。

日本の若者だって相当キツい状況で戦ってる。
韓国がチョンセで5,800万円なら、日本は奨学金という名の借金を背負ってスタートだ。
平均借金額324万円を、初任給22万円から返済する。

27歳・派遣社員

韓国は競争が激しいって言うけど、日本は競争すらさせてもらえない。非正規の枠に入れたらラッキー、正社員なんて夢のまた夢。這い上がるチャンスすらない

韓国が「N抛世代」なら、日本は「諦め世代」。表現は違えど、苦しさの本質は同じだ。

ただ、決定的に違うのは変化のスピード。韓国は問題が表面化すると、政府も企業も慌てて動き出す。良くも悪くも極端に振れる。

一方、日本は…変わらない。10年前と同じ議論を、10年後もしてそうな怖さがある。

どっちがマシとかじゃない。どっちもしんどい。
だからこそ、お互いの経験から学べることがあるはずだ。

N抛世代が問いかける「本当の幸せ」とは

韓国の若者は、こう語る。

親の世代は『良い大学→大企業→結婚→マンション購入』が幸せの方程式だった。でも私たちはその方程式が破綻してることを知ってる。だから自分たちで新しい方程式を作るしかない

彼・彼女ら新しい方程式は驚くほどシンプルだ。

「健康+好きなこと+大切な人との時間=幸せ」

金も地位も入ってない。でも、これが彼・彼女らにとっての真実だ。

おわりに:諦めることは、始めること

N抛世代という言葉は確かにネガティブに聞こえる。でも彼らは単に諦めているだけじゃない。

古い価値観を「抛(捨てる)」ことで、新しい価値観を「包(抱える)」している。

チョンセ?諦めた。その代わり、シェアハウスで仲間と暮らす。
大企業?諦めた。その代わり、YouTubeで自分のチャンネルを持つ。
結婚?諦めた。その代わり、自分が大切にしているたった一つのことに全力投球。

これは逃避じゃない。新しい形の挑戦だ。

韓国社会が直面する問題は深刻だ。でもその中で必死に生きる若者たちの姿は、むしろ希望に満ちている。

あなたは何を諦め、何を選ぶ?

N抛世代の挑戦は、私たち全員への問いかけでもある。

この記事を読んで共感した方、ぜひあなたの「小確幸」をコメントで教えてください!

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