NewJeans騒動で見えた韓国の病理:誰も勝者がいない「完璧主義」という地獄

5人の少女たちが暴走した時、韓国社会の闇が露わになった

2024年11月28日、夜8時半。

NewJeansが開いた緊急記者会見は、韓国エンタメ界に衝撃を与えた。

14日前に送った是正要求への回答を受け取った上で、彼女たちは契約終了を一方的に宣言。ADOR側は「契約は依然有効」と主張し、泥沼の対立が始まった。

彼女たちの行動は、客観的に見れば「プロフェッショナルではない」。

でも、ちょっと待ってほしい。

なぜ10代の少女たちが、こんな無謀な行動に出たのか。 その背景にある韓国社会の病理こそ、本当の問題だ。

大人の都合で振り回される『商品』たち

NewJeansは2年間、完璧なアイドルを演じた。スキャンダルなし、売上も好調。

でも、ミン・ヒジンが去った途端、何かが壊れた。

彼女たちは初めて自分たちの声で話し始めた。YouTubeライブ、記者会見、法的な挑戦。
それは、「爆発」だった。

稚拙で、戦略的ではなく、失敗に終わった。
でも、それこそが—完璧な商品ではなく、不完全な人間である証だったのだ。

ミン・ヒジンという「依存」の象徴

この記者会見以降、世論は複雑に分裂した。

「HYBEの大企業病が元凶だ」
「ミン・ヒジンの野心に利用されただけ」
「メンバーは彼女に依存しすぎている」
「10代の子供に何を求めているんだ」
「でもプロなら契約は守るべき」
「いや、不当な扱いには抵抗する権利がある」

みんなが自分の立場から意見をぶつけ合った。延々と続く犯人探し。
でも結局、何が問題なんだろう。

ミン・ヒジンが悪い?NewJeansがわがまま?
それとも、若者を「投資対象」として扱う企業文化?
「アーティストは労働者じゃない」という法律?
「黙って言うこと聞け」という業界の空気?

今回たまたまNewJeansが爆発したが、似たような話は他でも聞く。
個人を責めても、また同じことが起きるんじゃないだろうか?
犯人探しに夢中になって、大事なことを見落としているような気がする。

210億ウォンの投資と、計算できない「人間の感情」

HYBEは主張する。

「210億ウォン(約24億円)を投資した」
「各メンバーに50億ウォン(約5.7億円)の和解金を支払った」

確かに、ビジネスとしては正論だ。
投資をして、リターンを得る。収益を配分する。数字の上では完璧な取引だ。

でも人間の感情は、そう単純じゃない。
いくらお金を積んでも、信頼関係は買えない。数十億ウォンを手にしても、心が離れてしまえば意味がない。

これはHYBEが特別悪いわけじゃない。
K-POP業界全体が、アーティストを「投資対象」として扱うシステムの中で動いている。

そして、このシステムの問題は法廷でより鮮明になった。

法廷で明らかになった「アーティストは人間ではない」という現実


ハニの職場内いじめ申し立てに対し、労働部の答えはこうだった。

アーティストは、労働者ではない

だから労働法の保護は受けられない、と。

労働部によれば、アーティストは会社と「対等な契約当事者」であり、収益とリスクを自ら負担する「独立した事業者」。
実際には朝から晩まで練習し、マネージャーの指示に従い、スケジュール通りに動いているのにも関わらずだ。

この判断の根拠は2019年の大法院判決。
芸能人専属契約を雇用契約とは異なる「無名契約」として分類した。

つまり、どんなに長時間働かされても、どんな扱いを受けても、法的保護は一切ない。

確かに未成年者の労働時間は規制され、契約期間も7年に制限された。
でも、「そもそも労働者じゃない」という根本構造は変わっていない。

K-POP産業の華やかな成功の裏で、アーティストたちは最も基本的な労働者の権利から除外されている。
NewJeansの騒動は、この法的空白地帯で起きた必然的な爆発だったのかもしれない。

「前例」を恐れる大人たちの本音

韓国エンタメ業界5団体の共同声明が興味深い。

「NewJeansの行動が前例となれば、産業が崩壊する」

この言葉の裏には、業界の本音が透けて見える。

もしアーティストたちが次々と声を上げ始めたら。
もし練習生たちが待遇改善を要求し始めたら。
もし「夢」という言葉で正当化してきた搾取が通用しなくなったら。

彼らが本当に恐れているのは、今まで当たり前だった力関係が崩れることなのかもしれない。

実際、K-POP産業は「夢を追う若者たち」の情熱に支えられてきた。
過酷な練習、不透明な契約、収益配分の不均衡。
これらすべてが「デビューという夢」の前では正当化されてきた。

NewJeansのケースが特殊なのは、彼女たちがすでに成功していたことだ。
デビュー前の練習生なら、声を上げることすらできない。
でも、世界的な成功を収めたグループが声を上げたことで、業界全体に波紋が広がった。

5団体の共同声明は、その危機感の表れだろう。「前例」を作らせたくない。
なぜなら、それは彼らが築いてきたシステムの根幹を揺るがすからだ。

もう一つの視点:恵まれた者のわがまま?

しかし、この騒動を冷静に見れば、別の側面も浮かび上がる。

NewJeansは、デビューからわずか2年で世界的な成功を収めた。
210億ウォンという巨額投資を受け、1人あたり50億ウォンの収益配分も得た。
これは、夢を追いながらも日の目を見ることなく消えていく無数の練習生たちからすれば、信じられないほど恵まれた環境だ。

一般の若者たちから見れば、どうだろうか。

月100万ウォンの最低賃金で働く20代。就職活動に苦しむ大学生。
彼らの目には、億単位の金額を手にしながら「信頼関係が崩れた」と訴える10代の姿は、贅沢な悩みに映るかもしれない。

「俺たちだって上司と合わないけど、生活のために我慢してるのに」
「数十億もらって、それでも不満なの?」

こんな声が上がるのも、無理はない。

実際、韓国の一般的な労働環境を考えれば、NewJeansが置かれた状況は依然として「特権的」だ。

彼女たちは少なくとも:

  • 世界的な知名度を獲得した
  • 莫大な収益を得た
  • ファンという強力な支持基盤を持っている

これらは、普通の労働者には決して手に入らないものだ。

だからこそ、一部の人々は今回の騒動を「成功した者の贅沢な反乱」と見なし、共感できないでいる。
そこには、システムの恩恵を最大限に受けた者が、そのシステムを否定することへの違和感がある。この視点もまた、無視できない現実だ。

本当の問題は「システム」そのもの

恵まれた立場からの反旗に対する複雑な感情。
それは確かに、多くの人が感じる自然な感情だろう。

ただ、成功の頂点にいる者たちですら爆発してしまうという事実は、このシステムが抱える矛盾の深さを示しているのかもしれない。

NewJeansが正しかったか間違っていたか。
彼女たちの主張は正当だったか、わがままだったか。

そういった議論も重要だが、同時に見えてくるのは、成功者も失敗者も、結局は同じシステムの中で何かに苦しんでいるという現実だ。

本当の問題は、こんな爆発が起きるまで誰も気づかなかった(気づかないふりをしていた)システムの歪みだ。

おわりに:「不完全」という希望

NewJeans騒動は、韓国だけでなく、現代の資本主義社会全体に何かを投げかけた出来事だった。

彼女たちの行動は、確かに多くの問題を含んでいた。
法的にも、戦略的にも、稚拙だったと言わざるを得ない。

それでも、この騒動が浮き彫りにしたのは、誰もが薄々感じていた違和感だったのかもしれない。

完璧を求められ続ける社会。
人間らしさより効率を優先するシステム。
成功者も、そうでない者も、それぞれの立場で同じ構造に縛られている現実。

NewJeansの「不完全な反乱」は、そんな社会の歪みを、意図せずして映し出してしまった。

この騒動をきっかけに、何かが変わるのか、それとも元通りになるのか。
それは誰にもわからない。

ただ、少なくとも多くの人が、今まで当たり前だと思っていたことに疑問を持ち始めた。
それだけでも、意味があったのかもしれない。

NewJeans騒動について、あなたはどう思いますか?ぜひ、コメントでお聞かせください!

この記事は2025年7月時点の情報に基づいています。

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